この記事では総務アウトソーシングで委託できる業務の範囲や、コスト削減、生産性向上といったメリット、およびデメリットについてわかりやすく解説します。
さらに、自社の課題解決につながる委託先の選び方や、導入時に注意すべきポイントも紹介するため、最適な業務効率化を目指す際にぜひお役立てください。
総務部門は、社員が働きやすい環境を整え、企業活動を円滑にするために重要な部門です。
しかし、その業務範囲は広く、日々の作業に追われて、事業成長に貢献するような業務改善や企画立案にまで手が回らない、という課題を抱えている企業も少なくありません。
こうした状況に対して、総務アウトソーシングは社内の人材や時間をコア業務へ集中させるための有効な方法のひとつです。
本記事では、委託できる業務の範囲や、コスト削減などのメリット・デメリット、さらに自社に最適なサービスの選び方について解説します。
導入前によく生じる疑問や不安を解消することで、総務アウトソーシングのスムーズな導入が可能になり、結果として総務部門の生産性向上にもつながるでしょう。
総務アウトソーシングとは
総務アウトソーシングとは、企業の総務部門が担当する多岐にわたる業務を、外部の専門企業へ委託することを指します。
その主な目的は、ノンコア業務を切り離して社員を重要なコア業務に集中させ、組織全体の生産性を向上させることにあります。
総務が扱う業務は企業によって異なるため、アウトソーシングを成功させるには、まず自社の「何が課題か」を正確に把握し、その解決につながる業務範囲を見極めてから委託することが重要です。
総務アウトソーシングのトレンド
近年、人的リソースを重要な業務に集中させるために、売上に直結しない業務の効率化や、アウトソーシングの動きが拡大しています。
総務アウトソーシングの動きが拡大している背景には、人材不足の常態化、IT環境の発達や業務専門化の浸透など、さまざまな理由があります。
人材不足が常態化する中、最新のIT技術を活用しながら専門事業者の知見で業務フローを再設計し、コスト削減・効率化・属人化解消を実現しています。
また、働き方改革や人的資本経営への対応も需要を後押ししています。
総務でアウトソーシングできる業務一覧
総務アウトソーシングで委託できる業務は、多岐にわたります。
たとえば、受付対応や備品管理、社内からの問い合わせ対応といった日常的な定型業務はもちろんのこと、専門知識が求められる契約書管理や株主総会の運営支援なども対象です。
さらに、パソコンや社用車、防災備品の管理といった煩雑になりがちな管理業務まで、企業の状況に応じて幅広く依頼できます。
これらのノンコア業務を計画的に外部委託することで、総務部門の社員は企業売上に直結するような付加価値の高いコア業務にリソースを集中できます。
総務アウトソーシングのメリット
総務アウトソーシングを導入した場合、具体的にはどのようなメリットを得られるのでしょうか。
ここでは、業務を外部委託することでチームの能力を最大限に引き出し、経営的な視点で費用対効果をどのように高められるかを解説します。
これらのメリットを理解し、総務部門の体制を改善することで、企業全体の成長につながる体制を実現できるでしょう。
重要な業務に集中できる
企業の業務は、利益に直接関わる「コア業務」と、それを支援する「ノンコア業務」に分けられます。
アウトソーシングを活用してノンコア業務を外部に委託することで、社員は企画立案や業務フローの改善といった、より付加価値の高いコア業務に専念できます。
これにより、日々の雑務に追われるだけでなく、経営課題の解決に直接貢献できる総務部門へと役割を進化させ、組織全体の生産性を高められるのです。
コストを最適化できる
総務担当者を直接雇用する場合、採用費や教育費だけでなく、業務量にかかわらず毎月固定の人件費が発生します。
総務アウトソーシングを活用すれば、これらの採用・育成コストを大幅に削減できるのです。
必要なスキルを持つ人材に、必要な期間だけ業務を委託するため、人件費を固定費から変動費へと転換できます。
繁忙期や閑散期に応じて支出を柔軟に調整し、無駄のない予算計画を実現できる点は、会社にとって大きなメリットと言えるでしょう。
品質と業務スピードが向上する
総務アウトソーシングで業務を委託すると、専門知識と豊富な実務経験を持つプロフェッショナルが業務を担当します。
総務の専門家ではない自社社員が対応するよりも、最新のノウハウや確立された効率的な業務フローを熟知しているスタッフが対応する方がより効果的に業務を進められるでしょう。
業務の正確性やスピードが向上し、対応品質の標準化も実現できるのです。
これは単なるリソースの補填にとどまりません。
部署全体の業務プロセスが改善され、組織全体の生産性向上に貢献することが期待できます。
総務アウトソーシングのデメリット
ここでは、業務を外部に委託する際に見落とされがちな将来的な組織力への影響や、社外への情報共有時の管理体制、さらに外部パートナーとの円滑な連携における注意点などに焦点を当てて解説します。
総務アウトソーシングのデメリットをあらかじめ把握しておくことで、導入後の思わぬトラブルを未然に防ぎ、より自社に合う形で総務業務を外注できるようになるでしょう。
社内にノウハウが蓄積しにくい
総務業務を全面的にアウトソーシングすると、日々の業務遂行やトラブル対応を通じて得られるはずの知見が、自社の社員に蓄積されにくくなる点がデメリットです。
委託先では業務がマニュアル化され安定しますが、その反面、業務改善のノウハウやイレギュラーな事態への対応経験を社内で積む機会が失われます。
それゆえ、業務プロセスがブラックボックス化し、将来的に運用を見直したり、内製化に切り替えたりする際にスムーズに進まなくなる可能性があります。
情報漏えいなどのセキュリティリスクがある
総務アウトソーシングでは、業務委託先に企業の機密情報や個人情報を共有するため、情報漏えいのリスク管理が重要になります。
委託先のセキュリティ体制が脆弱な場合、外部からの攻撃や内部の不正によって、企業の信用を揺るがす重大なインシデントに発展しかねません。
契約を締結する前には、プライバシーマークやISMS認証の取得状況、具体的なデータ管理体制などを入念に確認し、信頼できる委託先を慎重に選定することが重要です。
コミュニケーションや意思決定に時間がかかる
総務アウトソーシングを利用する場合、社内スタッフ同士のように気軽に声をかけられません。
そのため、チャットやメールによる確認に時間がかかりやすくなります。
その結果、急な依頼への対応や細かなニュアンスの伝達が遅れてしまい、最終的に意思決定のスピードが落ちる場合があります。
こうしたデメリットが気になる場合は、委託先スタッフが自社に常駐する「オンサイト型」サービスの利用がおすすめです。
「オンサイト型」サービスを利用すれば、社内メンバーと同じような感覚で迅速に連携できるため、業務の停滞を防げます。
総務アウトソーシングの注意点
外部パートナーとの連携をスムーズに進め、期待通りの成果を得るためには、契約前に押さえておくべき大切なポイントがいくつかあります。
ここでは、総務アウトソーシングを利用する際の注意点について解説します。
委託範囲をあいまいにするとトラブルにつながる
委託する業務の範囲や責任の所在が明確でないまま契約を結ぶと、業務内容が把握しにくくなり、さまざまなリスクが生じる可能性があります。
委託先に業務を一任して業務プロセスや進捗の状況が把握できなくなると、品質が低下したり、トラブルが発生した際に迅速に対応できなかったりする恐れがあります。
これを防ぐためには、契約前に「どこからどこまでを委託するのか」といった業務範囲を十分に確認し、双方で合意しておくことが重要です。
また、定期的に報告会を開くなど、進捗状況を明確に把握できるようなコミュニケーションのルールを設けることで、委託先とより良好な協力関係を築けます。
サービスレベルや品質基準の明確化が必要
アウトソーシングの品質を確保するためには、委託先と業務の品質基準を具体的に取り決めておきましょう。
「思ったより対応が遅い」「品質が社内基準に満たない」といった導入後のトラブルを防ぐためには、契約時に業務の品質基準を定めることが必要です。
たとえば「問い合わせへの一次回答は3時間以内に行う」「定型業務の処理ミス率は0.5%以下に抑える」など、具体的で客観的な数値目標を委託先と策定し、定期的にその達成状況を確認する仕組みを設けることが重要です。
委託先との連絡体制が不十分だと進行に支障が出る
アウトソーシング先のスタッフが自社の総務部門の一員として機能するためには、円滑な連携体制を構築することが業務品質の向上につながります。
そのため、契約前に日々の連絡手段（電話、メール、チャット等）や報告ルール、専任担当者の有無などは必ず確認しておきましょう。
とくに、イレギュラー発生時の対応フローや責任の所在を明確にしておくことは、トラブルを未然に防ぐ上で不可欠です。
また、定例報告の機会が設けられているかどうかも確認しましょう。
定期的なコミュニケーションは、長期的に良好な関係性を築くために重要なポイントです。
総務アウトソーシングサービスの選び方
数多くの選択肢の中から、自社にとって本当に価値のあるパートナーを見つけ出すことは、簡単なことではありません。
ここでは自社に合った総務アウトソーシングサービスの選び方を紹介します。
これらのポイントを基準にサービスを選定することで、サービス導入後の失敗を防げるでしょう。
自社の課題に合った業務範囲を委託できるか
サービス選定をする前に、自社の総務部門が抱える課題を具体的に洗い出すことが重要です。
「ノンコア業務が多く、主要業務に集中できない」「専門知識を持つ人材が不足している」など、課題を明確化しましょう。
また、サービスを提供する会社によって、得意とする業務範囲や専門性は大きく異なります。
日常的な庶務業務に特化したサービスもあれば、人事や経理といったバックオフィス業務まで幅広く、柔軟に対応可能なサービスも存在します。
まずは自社の課題を整理し、それを解決できる業務範囲と専門性を持った委託先かを見極めることが重要です。
料金体系・費用感が予算と合っているか
料金体系を確認する際は、単なる安さではなく費用対効果を見極める視点が重要です。
主な料金体系には以下の種類があります。
- 時間単位型：業務量に応じて柔軟な依頼をしたい場合に適している
- 業務単位型：特定の業務ごとに料金が決まっており業務量に応じて費用が変動する
- 定額パッケージ型：月額料金などが固定されており予算管理がしやすい
自社が委託したい業務の性質や量に合わせて最適なプランを選ぶとよいでしょう。
サービスを選ぶ際には、金額を比較するために複数の会社から見積もりを取りましょう。
その際、基本料金に含まれるサービスの範囲や追加料金が発生する条件を詳しく確認し、総コストを正確に把握することが、サービスを正しく評価するために重要です。
総務アウトソーシングの実績が豊富か
アウトソーシングサービスの選定では、これまでの実績数だけでなく「自社と同様の企業規模での実績」が豊富かを確認することが重要です。
とくに中堅〜大企業では、総務部門内でも業務が専門化・分業化されているケースが多く、少数精鋭で広範囲を担う中小企業とは直面する課題が異なります。
一方で、自社と規模が近い企業への支援実績が豊富な委託先であれば、特有の業務フローや部門間の連携といった課題も深く理解しているはずです。
スムーズな導入や的確な業務改善につながるため、必ず過去の実績を確認しましょう。
郵便管理をアウトソーシングしたいなら「atena」
具体的なサービス例をご紹介します。
日々の郵便物の受け取りや仕分け、担当者への配布は、総務部門にとって意外と時間のかかる業務です。
これらの業務効率化とペーパーレス化を同時に実現したいなら、クラウド郵便管理サービス「atena」をおすすめします。
「atena」は、会社に届く郵便物を代理で受け取り、スキャンしてクラウド上で確認・管理できるサービスです。
そのため、担当者は出社しなくても郵便物を処理でき、テレワークの推進にも役立ちます。
さらに、開封や転送、破棄の指示もすべてオンラインで行えるため、郵便物の管理にかかる手間を大幅に減らせます。
郵便業務に課題を感じている方は、一度詳細を確認してみてはいかがでしょうか？
まとめ
本記事では、総務アウトソーシングで委託できる業務範囲から、導入のメリット・デメリット、そして自社に合ったサービスの選び方までを解説しました。
ノンコア業務を外部の専門家に委託すれば、総務部門はより重要なコア業務に集中できるようになり、コスト削減や生産性の向上が期待できます。
導入を成功させるには、委託する業務範囲を明確にし、品質基準をきちんと設定することが大切です。
本記事を参考にして、自社の課題を整理し、総務アウトソーシングの導入を前向きに検討してみてください。
